東海地区クラス分け~在籍馬(2022年度)

笠松競馬名古屋競馬東海地区クラス分け

笠松競馬、名古屋競馬の2場で構成される「東海地区」の地方競馬(東海公営)では、2場間で一定のルールに基づき交流が常に行われていることもあり、クラス分けルール(「名古屋競馬番組要綱」及び「笠松競馬番組要綱」、以下「要綱」)は地区で同一運用となるよう調整されています。

東海地区では収得した本賞金(1着から5着まで)に基づいた「番組賞金」を算定し、これを評価指標としたクラス分けを行っています。在籍中は本賞金を獲得する毎に番組賞金が加算されていく一方、定期的に一定の条件に当てはまる馬の番組賞金を減額する「番組賞金の調整」という制度で編成の序列を下げる仕組みが設けられています。

東海地区は階級(クラス)は単純ではあるものの、色々なルールが絡み合って細かく番組賞金が変動する印象がありますので、個々に制度を紐解いてみたいと思います。

なお、名古屋競馬は直近開催回のレース編成状況を掲載した「出走馬一覧表」に格付時の番組賞金を掲載しており、格付・番組賞金を確認することができます。

一方、笠松競馬では番組賞金を確認できる資料は公開していないため、専門紙での確認となります。ただし、笠松競馬公式ウェブサイトからリンクされている専門紙「競馬東海」の簡易版紙面の馬柱には番組賞金が掲載されています。

番組賞金の加算

東海地区在籍中は、競走に出走し1~5着で獲得した本賞金を競走の種類に応じて要綱に定められた下記の基準により換算した値(千円未満切捨て)が番組賞金に加算されます。

開催場 収得した賞金の競走区分 換算率
全場 JpnI(GI)競走 20%
JpnII・JpnIII競走 30%
東海地区 古馬P競走(=準重賞)、普通(一般)、選抜、特選、特別競走 100%
新馬戦、古馬SP競走(=重賞) 60%
2歳・3歳のSP競走(=重賞)、P競走(=準重賞) 50%
JRA認定競走 40%
地方他地区 Jpn競走以外の交流競走 50%
JRA JpnI(GI)競走以外の交流競走 30%
(原表を一部修正)

クラス分け

東海地区の階級は馬齢と番組賞金に基づき、要綱の「階級別の番組賞金」で以下のように定められています。

階級 番組賞金
一般 A級 300万円以上
B級 180万円~300万円未満
C級 180万円未満
3歳 3歳馬のうち330万円未満
10月以降一般階級適用
2歳 2歳馬のうち330万円未満
(原表を一部修正)
※2021年まで3歳は300万円未満

2歳・3歳の一般階級への編入

2歳階級、3歳階級格付馬は番組賞金が330万円以上になった時点で一般階級へ編入されます。しかし、そのままではA級になってしまうことから、経歴に応じ番組賞金を控除して一旦格付けを下げる仕組みとなっています。最も有利なのが初出走が東海地区の馬(東海地区デビュー馬)、次いで出走履歴が地方競馬のみの馬、JRA所属で出走した経歴のある馬の順となります。

また、転入時に「東海地区在籍馬扱い」となったいわゆる「再転入馬」(東海地区最終出走翌日から起算して1年未満での東海地区復帰)と、3歳9月末まで東海地区で出走した転入馬は一般階級に編入格付けされた際に控除の対象となります。

2歳

2歳馬は通年で330万円以上となった時点で一律に適用され、上級に編入されます。

経歴控除額編入階級
初出走が東海地区150万円B級以上
出走履歴が地方競馬のみ60万円B級以上
JRA所属で出走歴あり20万円A級
(要綱を基に作成)

3歳

3歳馬は控除額は変わらないものの、3歳戦が組まれる9月までに330万円に到達するか否かで扱いが変わります。9月まで達すれば2歳同様に上級への編入です。一方、達しなかった馬は9月で3歳戦が終了することに伴う一般戦への移行ですが、番組賞金の控除は同様に受けられます。

経歴 控除額 9月までに
330万円以上到達馬
9月までで
330万円未満馬
初出走が東海地区 150万円 B級以上 10月からC級以上
出走履歴が地方競馬のみ 60万円 B級以上 10月からC級以上
JRA所属で出走歴あり 20万円 A級 10月からC級以上
(要綱を基に作成)

番組賞金の調整

東海地区における降級要素となるのが、要綱で「番組賞金の調整」と呼ばれる定期的な番組賞金の減額制度。年4回、3か月ごとに実施され、最大で番組賞金が25%カットされる仕組みです。

実施時期

毎年度の6月末、9月末、12月末、3月末の東海地区の開催終了後に実施されます。

※開催回が前半・後半に分かれている場合、調整時期を跨いだ場合は前半開催終了時点で調整が行われます。

対象馬

次の2条件を満たした馬に対して実施されます。

  • 東海地区所属馬で東海地区及び他の競馬の競走に出走したA、B、C級の馬。
    (調整時における最終出走の階級が「2歳」「3歳」格の馬は調整対象ではありません。逆に言えば、2歳・3歳でもこの時点で一般階級に格付されていれば要件クリアとなります)
  • 前回の調整後から今回の調整まで(以下「調整期間内」)に勝利していないこと。ただし、2歳格、3歳格での勝利は反映しない。
    (3歳馬が期間中に3歳戦を勝って一般階級に上がったものの、一般階級のレースでは勝っていないといった場合は要件クリアとなります)

調整の実施

減額の限度額(調整額)は実施時点の番組賞金の25%です(端数処理は行いません)。

次に調整期間内に得た番組賞金(収得番組賞金)を確認します。このとき、勝利同様に2歳格・3歳格で得た番組賞金は反映させません。そして、下記3パターンの中から該当する計算を行い、その結果に千円未満の端数がある場合は切り捨てた額が新番組賞金となります。

収得番組賞金ゼロの場合
 番組賞金ー調整額=新番組賞金

調整額>収得番組賞金の場合
 番組賞金ー(調整額ー収得番組賞金)=新番組賞金

調整額≦収得番組賞金の場合
 調整はなく、番組賞金はそのままです。

勝利がなくても入着を重ねていると「調整額<収得番組賞金」となって調整なしというケースもあり得ます。

昇級・降級

昇級は1開催終了毎に行い、上位階級の番組賞金に達した馬が昇級となります。

一方、降級の可能性があるのは一般階級の馬で、3か月に1度の番組賞金の調整時となります。

なお、2週連続開催や「笠松前半→名古屋→笠松後半」という開催が行われると(この場合は笠松が)1開催2走できることがありますが、この場合は前週の競馬が終わった段階で格付・番組賞金を更新して編成し、開催途中でも昇級・降級が実施されます。

参考:「名古屋競馬番組要綱・賞金等支給基準」(原文→こちら)
   笠松競馬「番組要綱賞金等支給基準」(原文→こちら)
(金シャチけいばNAGOYA公式ウェブサイト、笠松けいば公式ウェブサイトより)

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