地方競馬の3歳三冠路線

地方競馬まとめレース編成

中央競馬では年間の大きなトピックとなる3歳馬のクラシック三冠競走。三冠馬の登場なるかという段階に至れば大きな注目を浴びます。一方、地方競馬では各地でそれぞれ3歳馬の路線が形成されてきたこともあって、かつてはダービー的なレースが秋にあったり、三冠路線の形成自体が古くないケース、さらには構成競走が入れ替えられるなどと様々。変遷を経て形成された現在の各地の3歳三冠競走を見てみましょう。

帯広ばんえい競馬

帯広ばんえい競馬3歳三冠
  • 7月30日
    第48回ばんえい大賞典(BG3)

    帯広200m

  • 11月5日
    第48回ばんえい菊花賞(BG2)

    帯広200m

  • 12月29日
    第52回ばんえいダービー(BG1)

    帯広200m

ばんえい競馬では先に「ばんえいダービー」のみが生まれた後、1975年に「ばんえい大賞典」「ばんえい菊花賞」が新設され路線が確立。途中順番の入れ替えはあったものの、この3競走で構成されている形は不変。年末に行われる「ばんえいダービー」は「日本一遅いダービー」とも呼ばれます。

参考:「ばんえい大賞典」→こちら
  ※3歳三冠路線の説明

(ばんえい十勝公式ウェブサイトより)

ホッカイドウ競馬

ホッカイドウ競馬3歳三冠
  • 5月4日
    第47回北斗盃(H3)

    門別1600m
    地方全国交流競走

  • 6月15日
    第51回北海優駿(ダービー)(H1)

    門別2000m
    地方全国交流競走

  • 8月29日
    第44回王冠賞(H2)

    門別1800m
    地方全国交流競走

1980年に「王冠賞」が創設されて以来、順番の入れ替わりや開催地、施行距離は変更されているものの構成は不変の三冠路線で、3競走とも地方全国交流競走となっているのが珍しいところ。

参考:「重賞競走体系図」→こちら

(ホッカイドウ競馬公式ウェブサイトより)

岩手競馬

岩手競馬3歳三冠
  • 4月30日
    第43回ダイヤモンドカップ(M1)

    盛岡ダート1600m

  • 6月11日
    第31回東北優駿(岩手ダービー)(M1)

    水沢ダート2000m

  • 9月3日
    第55回不来方賞(M1)

    水沢ダート2000m

岩手競馬3歳牝馬三冠
  • 4月16日
    第23回留守杯日高賞(M1)

    水沢ダート1600m
    牝馬限定 地方全国交流競走

  • 7月11日
    第37回ひまわり賞(オークス)(M1)

    盛岡ダート1800m
    牝馬限定

  • 9月18日
    第4回OROオータムティアラ(M1)

    盛岡ダート2000m
    牝馬限定

長らく交流競走の「ダービーグランプリ」が三冠に入っていた岩手競馬の三冠路線ですが、2019年に「ダイヤモンドカップ」に代えて「岩手ダービー」を冠する競走を新設。競走名はかつて北日本交流競走として行われていた「東北優駿」を復活させました。この際「ダービーグランプリ」は三冠競走から外れ、以降は地元馬重賞3戦で再構築されています。

全国のダービー競走を同時期に行うキャンペーン「ダービーシリーズ(旧ダービーweek)」に合わせて現在は6月の「東北優駿」に「岩手ダービー」の冠が付いています。

なお、2024年度からは最も歴史の長い秋の「不来方賞」がJpnII格付のダートグレード競走に改編される予定です。

一方、牝馬三冠路線は2020年に「OROオータムティアラ」を新設し、既存の3歳牝馬重賞2戦を組み合わせて構築した比較的新しい体系で、地方競馬での牝馬3歳三冠路線の形成は南関東に次いで2例目となります。

2023年度は開催場の変更があり、「ダイヤモンドカップ」が水沢→盛岡、また「不来方賞」が盛岡→水沢となっています。ただし、「不来方賞」は2024年度のダートグレード化時には再び盛岡開催となる予定です。また「留守杯日高賞」と「ひまわり賞(オークス)」は開催時期が1か月程度早まっています。

参考:「岩手競馬2023年度レース体系」→こちら(画像)

(岩手競馬公式ウェブサイトより)

南関東地区

南関東3歳三冠
  • 5月10日
    第68回羽田盃(SI)

    大井1800m

  • 6月7日
    第69回東京ダービー(SI)

    大井2000m

  • 7月12日
    第25回ジャパンダートダービー(JpnI)

    大井2000m
    指定交流競走

南関東3歳牝馬三冠
  • 3月22日
    第69回桜花賞(SI)

    浦和1500m
    牝馬限定

  • 5月11日
    第37回東京プリンセス賞(SI)

    大井1800m
    牝馬限定

  • 6月14日
    第59回関東オークス(JpnII)

    川崎2100m
    牝馬限定 指定交流競走

南関東3歳三冠は全て大井競馬場で開催。1964年に「東京王冠賞」が創設されて既存3歳重賞と組み合わせて形成、それ以来の長い歴史があります。1999年に指定交流競走の「ジャパンダートダービー」が創設されたあとに「東京王冠賞」が2001年で終了。このため、現在の形は2002年からということになります。

一方牝馬3歳三冠路線は1987年に「東京プリンセス賞」が創設され成立。こちらは船橋を除く南関東3場を転戦する形で行われます。

ジャパンダートダービーは創設当初から、また関東オークスが2000年から指定交流競走となったため、牡馬牝馬とも最終戦は中央遠征馬に勝たなければいけないという高いハードルが待ち受けています。

なお、2024年からは南関東3歳三冠競走を「3歳ダート三冠競走」とし、構成3競走を全てJpnI格付けの指定交流競走に衣替えし、中央・地方統一の3歳ダート競走クラシック路線の競走とすることが発表されています。なお、「ジャパンダートダービー」は開催時期を秋(10月上旬)に移行し、競走名を「ジャパンダートクラシック」に変更されます。

参考:「TCKデジタルガイドブック2023-2024」→こちら

(東京シティ競馬公式ウェブサイトより)

参考:「3歳ダート三冠競走を中心とした2・3歳馬競走の体系整備について」→こちら

(地方競馬情報サイトより(2022.6.20発表))

金沢競馬

金沢競馬3歳四冠
  • 5月14日
    第31回北日本新聞杯

    金沢1700m

  • 6月27日
    第7回石川ダービー

    金沢2000m

  • 9月3日
    第58回サラブレッド大賞典

    金沢2000m

  • 10月15日
    第67回MRO金賞

    金沢1400m

金沢競馬の3歳オープン重賞は2017年に「石川ダービー」が加わり4競走に。ゆえにそれ以前は3競走だったのでそのまま「3歳三冠」と呼んでいたようですが、4競走になった際に代わりに従来の重賞を外して三冠とすることもなく、そのままいわゆる「3歳四冠」という形になっているようです。

実況を担当する耳目社のアナウンサーが執筆しているブログ「金沢競馬担当日記」でこのことが取り上げられていましたが、これを見る限り主催者的には三冠四冠といった形にはこだわってなさそうで、公式からのリリースにも特に3歳三冠(四冠)路線的なものを明示するものは出ていません。

ちなみに、北日本新聞杯・MRO金賞・サラブレッド大賞典の3重賞をまとめて「金沢競馬の3歳三冠」と称してよい、ということは、ノーブルシーズがこれらを制覇した2008年に確認してあります。
主催者=石川県の見解として、これらは「三冠レース」だったのです。

そこへ新設された「石川ダービー」をくわえ、これから金沢競馬の3歳戦線は「四冠」と称してよいのかどうか、という問題ですが、これは、「いわゆる」つきで「言っていい」ということになるようです。主催者に確認しました。

(株)耳目社「金沢競馬担当日記」2017.5.25「第25回北日本新聞杯 ヤマミダンス優勝」より引用(全文こちら

なお、2023年度は「MRO金賞」の開催時期が秋に移った上で1400m戦に距離が短縮、また東海・近畿・北陸交流から金沢所属馬だけの競走となります。

東海地区

東海地区3歳三冠
  • 5月3日
    第62回駿蹄賞(SPI)

    名古屋2000m

  • 5月31日
    第53回東海ダービー(SPI)

    名古屋2100m

  • 8月30日
    第47回岐阜金賞(SPI)

    笠松1900m

少なくとも近年は公式に東海3歳三冠という定義はされておらず、公式からのリリース等にも載っていないのですが長年の地区間交流の関係もあり、メディア等で挙げられているのは上記3競走で長年定着しているというちょっと不思議な位置づけ。となるといつから形成されたとも言いづらいような。

核的な存在の「東海ダービー」が一時指定交流競走の「名古屋優駿」になっていた時期や、「岐阜金賞」と共に他地区との交流競走だった時期があるなど各競走ごとに変遷が見られます。

参考:「ドリームズライン、岐阜金賞Vで東海3冠」(→こちら
   ※東海3歳三冠競走の一般的な定義
(岐阜新聞web掲載 2017.10.20付け記事)

   「東海三冠 ドリームズライン」(→こちら
   ※東海3歳三冠は公式見解がないという記事

(楽天競馬ブログ「ミツオーのセカンド・ボイス」2017.10.20付け)

兵庫県競馬

兵庫県競馬3歳三冠
  • 4月6日
    第55回菊水賞(重賞I)

    園田1700m

  • 5月3日
    第24回兵庫チャンピオンシップ(JpnII)

    園田1870m
    指定交流競走

  • 6月14日
    第24回兵庫ダービー(重賞I)

    園田1870m

現在の三冠競走は兵庫県競馬がサラブレッド系競走を開始した翌年の2000年度に「兵庫チャンピオンシップ」と「園田ダービー(当時、現「兵庫ダービー」)」を創設した上で、アラブ系三冠競走の1つだった「菊水賞」をサラ系競走に転換して形成。何度か順序や条件が変わったことはあるものの、この3競走での構成自体は開始以来変更されていません。

2戦目の「兵庫チャンピオンシップ」が指定交流競走かつ中央遠征馬に有力馬が揃う傾向があり、三冠達成の難易度が高いとされています。

なお、2024年から「兵庫チャンピオンシップ」は中央・地方統一の3歳ダート短距離路線の頂点競走に位置づけられ、競走距離を1400mに短縮することが発表されています。
また、同じ5月にはダート三冠競走の大井「東京ダービー」への西日本地区指定競走となる1870m重賞が行われることも発表されています。

なお、兵庫県競馬の3歳三冠路線に2024年度から改編があるかについてはまだ発表されていません。

高知競馬

高知競馬3歳三冠
  • 4月30日
    第27回黒潮皐月賞

    高知1400m

  • 6月18日
    黒潮ダービー 第51回高知優駿

    高知1900m
    地方全国交流競走

  • 8月27日
    第27回黒潮菊花賞

    高知1900m

1997年の重賞競走の体系化に伴って高知4歳(当時)三冠路線を創設することになり、既存の「黒潮ダービー やいろ鳥賞」を「黒潮ダービー 高知優駿」に改称した上で、「黒潮皐月賞」「黒潮菊花賞」を新設して確立。以来現在まで構成は変わっていません。

2009~2012年度に3競走とも近畿・四国・中国地区交流(2012年度は近畿地区を除く)となった時期を経て、2017年度からは「高知優駿」のみ地方全国交流競走とし、賞金を大幅に引き上げた別格的な競走としています。

佐賀競馬

佐賀競馬3歳三冠
  • 4月30日
    第11回佐賀皐月賞

    佐賀1800m

  • 5月28日
    第65回九州ダービー栄城賞

    佐賀2000m

  • 8月13日
    第20回ロータスクラウン賞

    佐賀2000m
    四国・九州地区交流競走

現在の体系になったのは2018年度に行われた重賞競走の体系再編の時。それまで3歳三冠競走に含まれていた「飛燕賞」に代えて(競走は存続)、古馬のS2重賞だった「佐賀皐月賞」を3歳重賞に変更して三冠路線に組み込み、現在に至ります。

2023年度は3戦目の「ロータスクラウン賞」の開催時期が早まり、三冠競走は8月に終了となります。

第18回 ロータスクラウン賞は、トゥルスウィー号が勝利し、佐賀三冠を達成!(→こちら)
※公式発信の3歳三冠達成の記事

(さがけいば公式サイト 2021.9.12掲載)
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